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2003年10月 Archive

旅の果て 第三回

3

 夕飯は大好きな煮魚だったが、味わう間もなくそれを掻き込み、私は早々に自分の部屋に戻った。部屋の中央に腰を下ろし、無意識のうちに口を押さえ、考えた。

 あれは、誰だったのだろうか。

 世界には自分によく似た人間が三人は存在しているという。事実、これまでの旅で幾度となく、自分に似た人間にあってきた。当たり前の話だが、この旅をしている間、私は本当の私の顔を見ることができない。だからその度に懐かしい気持ちになったものだ。

 しかし今回は特別である。他人の空似にしては、あまりにも私に似すぎていた。背丈、体格、顔付き。何もかもが私そのものであった。鏡に映したような、そんな陳腐な表現すら頭を掠める。だが不思議と気味の悪さはなく、勿論驚きはあったものの、これまでと同様に、懐かしい気持ちに包まれていた。

 そういえば。ふと、私はあのカレンダーを見た時の感覚を思い出した。「朝子」という名前を見た時、得体の知れない感覚に陥ったが、今思えば、それは懐かしさではなかっただろうか?さらに言えば、あの洞窟でも、そんな懐かしさを感じていなかっただろうか?

 しかしむしろ、あの男に対しては、いつもよりも強烈な懐かしさがあった。それはあの男の姿というよりも、姉と言葉を交わす、

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